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常習的脅迫とは? 刑は重くなる? 逮捕される確率についても解説

2024年02月26日
  • その他
  • 常習的脅迫
常習的脅迫とは? 刑は重くなる? 逮捕される確率についても解説

令和5年3月、特定の芸能人について私生活などを暴露する動画を配信していた元国会議員の男に対して、「常習的脅迫」の容疑で逮捕状が請求されました。この事件は、前議員の男が開設していた動画チャンネルが人気を集めていたこと、国会議員として当選したものの一度も国会に出席しないまま除名されたことなどから、大きな注目を集めました。

「常習的脅迫」という罪名を初めて耳にして、「どんな犯罪なのだろう?」と疑問を感じた方も多いでしょう。本コラムでは「常習的脅迫」とはどんな犯罪なのか、刑罰の重さやほかの犯罪との関係などについて、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスの弁護士が解説します。

1、常習的脅迫とは? 逮捕の可能性はどのくらい?

脅迫行為を罰するのは刑法第222条の「脅迫罪」ですが、「常習的脅迫」は刑法に定められている犯罪ではありません。
以下では、常習的脅迫という犯罪の概要を解説します。

  1. (1)常習的脅迫を定めるのは「暴力行為等処罰に関する法律」

    常習的脅迫を定めているのは、大正15年に定められた「大正十五年法律第六十号(暴力行為等処罰ニ関スル法律)」です。
    大正時代の表記では読みにくいので、現在は「暴力行為等処罰に関する法律」あるいは「暴力行為処罰法」と呼ばれています。

  2. (2)刑法の「脅迫罪」との違いは?

    刑法第222条の脅迫罪は、生命・身体・自由・名誉・財産に対して害を加える旨を告知することで成立します。
    一方で、暴力行為処罰法第1条の3に定められている常習的脅迫は「常習」として刑法第222条の脅迫罪を犯した場合に成立します。

    なお、本罪における「常習」とは、脅迫のみに限りません
    暴行や傷害、器物損壊といった粗暴な行為をはたく罪を犯す習癖のある者が、その習癖の発現として脅迫罪を犯したら、「常習的脅迫」となるのです。

  3. (3)脅迫にとどまらず金銭などを要求した場合は?

    常習的脅迫は、常習として刑法の脅迫罪にあたる行為をはたらいた場合に成立します。
    たとえば、脅迫にとどまらず金銭などの支払いを求めた場合は刑法第249条の恐喝罪に、義務のないことを行わせた場合は同223条の強要罪に問われます。

    暴力行為処罰法第1条の3によって常習として処罰されるのは、暴行罪・傷害罪・脅迫罪・器物損壊罪にあたる行為だけです。
    常習恐喝罪や常習強要罪といった規定は存在しないため、恐喝罪や強要罪にあたる場合には刑法によって処罰されることになります

  4. (4)常習的脅迫で逮捕される可能性は高い?

    検察統計によると、令和3年中に検察庁で処理された脅迫事件の総数は2343件でした。
    このうち、逮捕を伴ったのは1384件であり、割合としては59.0%になります。

    この統計は常習的脅迫ではなく刑法の脅迫罪が適用された事件の数字であり、常習的脅迫は認知件数が少ないため、常習的脅迫の割合は定かではありません
    しかし、常習的脅迫は脅迫罪をより厳しく罰するための犯罪であることや、脅迫事件の多くはまったくの見ず知らずなどではなく顔見知り以上の関係で行われていることなどをふまえると、脅迫罪で逮捕される可能性は他の犯罪に比べても高いといえます。

2、常習的脅迫になると刑罰が重くなる?

暴力行為処罰法は、刑法に照らせば同じ罪名になるとしても集団的・常習的など悪質な行為をより厳しく罰するために設けられた、「特別刑法」という種類の法律です。
脅迫行為が常習的脅迫にあたる場合にも、刑法の脅迫罪と比べて厳しく処罰されます

  1. (1)脅迫罪の法定刑

    脅迫罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金です。

    刑法に定められている犯罪のなかでは懲役の上限が低く、罰金で済まされる可能性もあるという意味では、比較的軽い罪だといえます。

  2. (2)常習的脅迫の罰則

    常習的脅迫の罰則は、3か月以上5年以下の懲役です。
    有罪になると最低でも3か月、最長では刑法の脅迫罪を大きく超える5年の懲役が科せられるうえに、罰金で済まされる可能性もなくなります。

    3年を超える懲役には執行猶予がつかなくなるため(執行猶予がつくには前提として「3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金」の言い渡しが必要)、常習的脅迫にあたる場合には、実刑判決を受けて刑務所に収監されてしまう危険も生じることを覚悟しなくてはなりません。

3、暴行・名誉毀損(きそん)なども同時に犯していた場合はどうなる?

常習的脅迫が行われるような場面では、相手に暴力をふるう行為や、個人の名誉を害する行為が発生することもあります。
以下では、常習的脅迫と同時に暴行や名誉毀損(きそん)などの行為が行われた場合の、法律上の扱いについて解説します。

  1. (1)暴行も同時に行った場合

    害悪を告知する際に、顔面を殴ったり、身体をはがいじめにして押さえつけたりといった行為があると、暴行罪も同時に成立します。
    常習的脅迫が適用される場合には、暴行罪も常習的暴行となるでしょう

    これらが同時に行われた場合は「観念的競合」としてひとつの犯罪行為と評価されます。
    観念的競合の関係にある複数の犯罪は、法定刑が最も重いひとつの刑のみが適用されるため、脅迫・暴行が同時に行われたとしても刑の重さは変わりません。
    もっとも、行為の態様としては脅迫や暴行が単体で行われたときよりも悪質になるため、法定刑の範囲内でより厳しい刑罰が言い渡される結果につながる可能性は高いでしょう。

  2. (2)名誉棄損が同時に行われた場合

    冒頭で挙げた暴露動画のように、常習的脅迫と名誉棄損が同時に行われた場合は、それぞれ別の犯罪行為として評価されます。
    確定裁判を経ていない二つ以上の罪は「併合罪」の関係になり、法定刑が最も重いひとつの刑の上限が1.5倍になります

    名誉棄損罪の法定刑は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です。
    常習的脅迫に対する懲役の上限は5年なので、これらが併合罪となると5年×1.5倍=7年6か月以下の懲役が科せられる可能性があるのです。

4、常習的脅迫の容疑で家族が逮捕されたら弁護士に相談を

もし、ご家族が常習的脅迫の容疑で警察に逮捕されてしまったときは、すぐに弁護士に相談してください。

  1. (1)被害者との示談による解決を目指す

    常習的脅迫には、刑法の脅迫罪と比べると格段に重い刑罰が定められています。
    実刑判決を受けて刑務所に収監されてしまう危険も高いため、まずは被害者との示談交渉を進めて、早期の解決を図りましょう
    被害者との示談がごく早い段階で成立すれば、警察に事件を認知されないままで解決できる可能性があります。
    すでに警察が認知していても、被害届や刑事告訴の取り下げによって警察限りで捜査が終結すれば、逮捕の回避も期待できます。

    ただし、被害者との示談交渉は容易ではありません。
    脅迫を受けた被害者は、加害者に対して強い恐怖や怒りを感じています。
    示談を申し入れても相手にしてもらえない可能性があるだけでなく、何度も示談を申し入れていると、「脅されている」と誤解されて事態が悪化するおそれもあるのです。
    安全に示談を進めて示談成立の可能性を高めるためには、弁護士のサポートが不可欠です

  2. (2)再犯防止に向けた対策を尽くしている状況を示す

    「常習的脅迫」は、脅迫・暴行・器物損壊といった粗暴な習癖がある者について、これらの罪を犯したときにより厳しく罰するための規定です。
    罪を問われる事態になったときは深い反省とあわせて二度と罪を犯さないという姿勢が欠かせませんが、粗暴な習癖で罪になっている以上は、「どうすれば再び罪を犯さずに済むのか?」という再犯防止対策を尽くしている状況も問われることを心得ておく必要があります。

    再犯防止に向けた対策はひとつではありません。
    家族による監督強化、自堕落な生活を改めて再就職する、暴力性の高い集団との関係を断ち切るなど、事案の内容や個人の属性によってさまざまな方法があります。
    しかし、どのような対策を尽くせば検察官や裁判官に良い印象を与えるのかを個人で判断するのは困難です。
    そのため、すぐに弁護士に相談して、有効な再犯防止対策を講じるためのサポートを依頼することが大切です

5、まとめ

「常習的脅迫」は、刑法の脅迫罪にあたる行為をさらに厳しく罰するための規定です。
常習的脅迫の容疑で罪を問われることになると、実刑判決が言い渡されて刑務所に収監されてしまう危険が高まります。

逮捕や厳しい刑罰を避けるためには、素早い示談交渉や再犯防止対策を示すなどの対策が必須です。
経験豊富な弁護士のサポートが必要となるので、まずはベリーベスト法律事務所にご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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