【後編】弁護士が解説! 強制的なランチミーティングは労働時間になる?

2020年03月27日
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【後編】弁護士が解説! 強制的なランチミーティングは労働時間になる?

藤沢市内には、おいしくておしゃれなランチタイムを楽しめる店舗がたくさんあります。しかし、せっかくのランチタイムが半強制的なランチミーティングになってしまうことが続けば、休憩することもできません。そこで前編では、労働基準法違反のランチミーティングと法律で定められた休憩時間などについて説明しました。

後半は、違法なランチミーティングだった場合、労働者が雇用主に対して求めることができることについて、湘南藤沢オフィスの弁護士が解説します。

4、違法なランチミーティングは弁護士に相談しよう

弁護士には、できるだけ早い段階から相談することをおすすめします。

ランチミーティングや未払い賃金に限らず、労働問題全般について会社との交渉や裁判による解決に実績豊富な弁護士であれば、各種の法的なアドバイスはもちろんのこと、あなたの代理人として会社と交渉などを行い、あなたにとって良い方向への解決に動いてくれることが期待できます。

なお、労働問題は労働基準監督署も取り扱っています。しかし、個人の残業代請求交渉などを代行してくれるわけではありません。したがって、積極的かつ親身な対応が欲しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

5、ランチミーティングに対する賃金や休憩時間を請求するためには?

労働者には強制的にランチミーティングが行われた時間に相当する賃金の支払いや、ランチミーティング以外の、労働から完全に解放された休憩時間を会社に請求する権利があります。

なお、請求は会社という組織に対して行うわけですから、不十分な知識と経験のままでは交渉を誤り、本来であれば受けることができた支払いや権利が受けられなくなることもありえます。独断で行動することは避け、弁護士と相談しながら慎重に進めることをおすすめします。

  1. (1)証拠をそろえよう

    会社から課されたランチミーティングが休憩時間の付与義務違反に該当するかどうかは、証拠がなければ示すことができません。

    そこでまずは、労働時間に相当するランチミーティングであるにもかかわらず相応の賃金が適正に支払われていない事実、および休憩時間が適正に付与されていない事実に関する客観的な証拠を、事前に集めておかなくてはなりません。会社との交渉が決裂し、裁判などで訴える段階になれば、証拠の重要性はより高くなります。

    具体的な証拠としては、ランチミーティングの開催を知らせる内容のメールや議事録、さらに業務日誌などが考えられます。ただし、議事録を作成していないランチミーティングも多いでしょうし、特に休憩時間の客観的な記録は難しいものです。この場合、客観性や信ぴょう性についての議論が生じる可能性はありますが、労働者が自ら記録したランチミーティングの内容や日々の勤務時間に対する休憩時間の記録などが証拠となる可能性があります。

    ランチミーティングの適法性に疑問を持った時点で、早めに証拠を収集しておくことや勤務時間と休憩時間の記録は始めておくべきでしょう。

  2. (2)請求すべき金額を計算しよう

    まず、労働基準法における法定労働時間と取得できなかった休憩時間の取り扱い、そして法定外労働時間に対する賃金の割増率を確認しましょう。

    労働基準法第32条では、1日あたりの法定労働時間は8時間と定められています。ここで、9時から18時までのうち昼に1時間の強制的なランチミーティングが行われ、本来の1時間の休憩時間が取得できなかった場合を考えてみましょう。この場合、休憩を取得できなかったのですから、その日は通算して9時間労働したことになり、1時間の時間外労働が行われたことになります。

    また、法定外の時間外労働に対しては労働基準法第37条第1項の規定により25%の割増賃金が支払われることになります。これにより、時間単位の基礎賃金をA円、代わりの休憩時間がなかった日に費やされたランチミーティングの時間をB時間、1日の労働時間を8時間+B時間とすると、追加で支払われるべき賃金はA×B×1.25で計算されます。

  3. (3)会社に請求しよう

    上記により算出した未払い賃金と違法なランチミーティングの中止を、証拠を提示しながら会社に請求します。

    規模が大きい会社の場合、会社としてコンプライアンス遵守の姿勢はあるものの現場には浸透しておらず、さらに会社が現場で違法なランチミーティングが行われていることすら把握していないことがあります。このため、請求は直属の上司よりも人事部や経理部などのコーポレートセンターに行うことが望ましいでしょう。

    なお、会社に対して労働者が未払い賃金の支払いを請求する権利は、労働基準法第114条の規定により給料支払日の翌日から2年で時効となり消滅してしまいます。時効を中断するためには、まず会社に対して未払い残業代の支払いを求める「催告」を配達記録付き内容証明郵便で送付することで、時効を一時的に止めることができます。

    さらに会社に内容証明郵便が到達してから6か月以内に訴訟を提起すれば、時効は中断します。つまり、時効の中断は会社を相手取った裁判も辞さない覚悟のもと行う必要があるのです。労働者からの請求に会社が応じない場合は、労働審判や裁判など公的機関を交えることで、今後の解決を目指すことになります。

6、まとめ

ランチミーティングには良い側面もあります。しかし、休憩時間が付与されていなかったり、支払われるべき賃金が払われていないことが明らかな場合は、会社にしかるべき対応を願い出ることも選択肢のひとつです。

その際、ベリーベスト法律事務所 藤沢オフィスの弁護士はあなたの正当な権利を守るために尽力します。ぜひお気軽にご相談ください。
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