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学校から自主退学勧告を受けた場合にできることとは?

2021年02月25日
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学校から自主退学勧告を受けた場合にできることとは?

高校や大学から退学処分や自主退学勧告を受けた場合、生徒・学生本人はもちろん、保護者の方も大変なショックを受けられるかと思います。努力して入学した学校を卒業できずに退学となると、退学した後の人生にも悪影響が生じてしまう可能性があります。

退学処分と自主退学勧告の違いもわかりにくく、学校からこのような対応をされた場合にどのように判断・対応すればよいのか戸惑ってしまうでしょう。また、たとえば、自主退学勧告に応じないと強制的な退学処分をされてしまうのか、退学処分に対抗する手段はあるのかなど、さまざまな疑問がわいてくるかと思います。

今回は、自主退学勧告と退学処分の違いなどについて、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスの弁護士が詳しく解説します。

1、自主退学勧告を受けるケースとは?

自主退学勧告を受けるケースにはいろいろなものがあります。
自主退学勧告をされた過去の事案には、以下のようなものがあります。

  • 男子生徒が、複数の女子生徒に対して性的な事柄に関するやりとりをしたり、性的な行為をやりたいという趣旨の発言をしたりした事案
  • 複数の生徒に対して、いじめをした事案
  • ある生徒が、母校のプールに侵入し、当該プールサイドにおいて喫煙をし、さらに別の日に警察に対して虚偽通報をした事案
  • 芸能活動禁止の学校で芸能活動をしていたことが発覚した事案
 などです。

2、自主退学勧告を受けたときの対応

自主退学勧告は、学校側から生徒・学生に対して行う自主退学の勧めであって、強制力はありません。
したがって、自主退学を勧告されたからといって、それに応じるべき義務はありません。あくまで、勧告は勧告であって、法的な効果などが発生するわけではないのです。

自主退学勧告を受けたら直ちに学校を辞めなければならないわけではありません。ですから、自主退学の勧告を受けたときに、納得していないにもかかわらず、学校に言われるがままに退学届を出してしまうことは避けましょう。保護者は、生徒・学生本人の意思を尊重しながら、冷静に考えて、対応することが重要です

3、自主退学勧告と退学処分との違いとは?

退学には、自主退学(学校教育法第59条、学校教育法施行規則第94条)と懲戒による退学(退学処分。学校教育法第11条、学校教育法施行規則第26条)の2種類があります。

  1. (1)自主退学

    自主退学とは、生徒・学生側から学校に対して、自主的に退学を申し出る方法です。
    自主退学には、①生徒・学生自身が積極的に望んで退学するものと、②生徒・学生の問題行動等により学校側から自主退学勧告を受けて自主退学するケースがあります。
    このように、自主退学勧告とは、学校から生徒・学生側に対して、自主退学をするように勧めることをいいます。

    したがって、自主退学勧告を受けただけでは、生徒・学生は教育を受ける地位や権利を剥奪されることはありません。生徒・学生が今までどおり学校に通って授業を受けることは法律上は可能です。生徒・学生と学校との間の在学関係は、自主退学勧告によって終了するのではなく、生徒・学生自身が自主退学を届け出ることによって、終了することになるからです。

    とはいえ、自主退学勧告を出すからには、学校としても、その生徒を退学処分にするという判断がすでに行われている可能性があります。
    しかし、学校がいきなり退学処分をすると、生徒・学生の不利益が大きいうえに、生徒・学生側と学校側との間でトラブルとなる可能性があります。学校は、より穏便な方法として、強制的な退学処分に出る前に、自主退学勧告を行うことが多いと考えられます
    学校からの自主退学勧告を生徒・学生側が受け入れない場合は、学校から退学処分をされてしまう可能性があります。

  2. (2)退学処分

    退学処分とは、学校側が生徒・学生の意思にかかわらず、生徒・学生と学校との在学関係を一方的に終了させることをいいます。

    学校は、生徒・学生に対して懲戒処分を行う権限があります(学校教育法第11条、学校教育法施行規則第26条)。退学処分は、懲戒処分の一つです。懲戒処分には、退学処分のほかに、停学処分、訓告処分があります。

    退学は、生徒・学生の教育を受ける権利を奪うものですから、その不利益はとても大きいものです。そのため、退学処分ができる場合は、学校教育法施行規則第26条第3項で定められています。具体的には次のとおりです。

    学校教育法施行規則第26条第3項各号

    1. ① 性行不良で改善の見込がないと認められる者
    2. ② 学力劣等で成業の見込がないと認められる者
    3. ③ 正当の理由がなくて出席常でない者
    4. ④ 学校の秩序を乱し、その他学生又は生徒としての本分に反した者


    退学処分は校長(大学にあっては、学長の委任を受けた学部長を含みます。)が行います(学校教育法施行規則第26条第2項)。

    判例では、「その行為が懲戒に値するものであるかどうか、また、懲戒処分のうちいずれの処分を選ぶべきかを決するについては、当該行為の軽重のほか、本人の性格及び平素の行状、右行為の他の学生に与える影響、懲戒処分の本人及び他の学生に及ぼす懲戒的効果、右行為を不問に付した場合の一般的影響等諸般の要素を考慮する必要があり、これらの点の判断は、学内の事情に通暁し直接教育の衝にあたるものの合理的な裁量に任すのでなければ、適切な結果を期しがたい」(最高裁判所第3小法廷昭和49年7月19日判決・民集28巻5号790ページ)とされ、校長が生徒・学生に対する懲戒処分をするに際して裁量権を有していると判断されています

    このように、退学処分が校長の教育的裁量にゆだねられるべきものであることから、裁判所が校長の退学処分を違法であると判断できる場合は限定的に考えられています。

    具体的には、「校長の裁量権の行使としての処分が、全く事実の基礎を欠くか又は社会通念上著しく妥当を欠き、裁量権の範囲を超え又は裁量権を濫用してされたと認められる場合に限り、違法であると判断すべきものである。」とされています(最高裁判所第2小法廷平成8年3月8日判決・民集50巻3号469ページ)。

4、自主退学勧告、退学処分に対して弁護士ができること

学校側から突然に退学の連絡がきたら、保護者としては驚くのが当然です。どのように対応したらよいか途方に暮れることもあるでしょう。

このような状況で、保護者の方が学校と直接話し合うことは難しいものです。このような場合には、弁護士に相談することを検討しましょう。学校からの退学処分に関して、弁護士に相談するメリットとしては、次のようなものが挙げられます

  1. (1)適切なアドバイスが受けられる

    自主退学勧告や退学処分を受けると、生徒・学生本人も保護者の方も、いったいどう対応したらいいのわからないという不安にかられます。生徒・学生本人としては、明日から学校に行っていいのか、学校でどんな態度をとればいいのか、退学になったらいったい何が起きるのか、大きな不安でいっぱいになってしまうでしょう。

    こうした問題をすべて生徒・学生本人と保護者の方だけで解決しようとすると負担が大きくなってしまいます。このような場合は、弁護士に相談することで、迅速に適切なアドバイスを受けることができます。できるだけ早く弁護士に相談して、今後の対応について、冷静に検討することが大事なのです

  2. (2)退学処分の適法性を判断できる

    退学処分は、学校側が行う懲戒処分の中でもっとも重い処分です。生徒・学生から教育を受ける権利を奪ってしまうものであるため、退学処分については、「当該学生を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って退学処分を選択すべきであり、その要件の認定につき他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要するものである。」とされています(最高裁判所第2小法廷平成8年3月8日判決・民集50巻3号469ページ)。

    弁護士に相談すれば、生徒・学生が受けた退学処分が適法なものなのかを、過去の裁判例等を基に判断することができます。退学処分が違法であるという見通しを持てれば学校側に違法性を主張することになります。一方、過去の裁判例からしても退学処分が適法なものだと生徒・学生本人や保護者の方が納得できれば、前向きに退学後の進路を検討することができるようになります。

  3. (3)学校との交渉を弁護士に任せることができる

    弁護士に相談したところ、退学処分が違法になる可能性があるとしても、生徒・学生本人や保護者の方が学校側と直接話し合いをすることには困難を伴います。

    たとえば、学校に対し退学処分が違法であると主張するためには、退学処分が違法であることを基礎づける事情をまとめたり、当該事情を証明する証拠を収集したりする必要があります。

    しかし、法律の専門家でない生徒・学生本人や保護者の方だけでは、退学処分が違法であることを基礎づける事情を過去の裁判例から抽出したり、本件についてはどのような事情が生徒・学生にとって有利になるか判断できなかったり、どのような物が証拠となるのかを判断することも困難です。
    また、そもそも保護者の方も仕事で忙しく、学校側と話し合う時間を調整すること自体にも困難があります。

    生徒・学生本人や保護者の方にとっては困難であっても、弁護士に依頼すれば、弁護士が退学処分の違法性を検討してくれたり、退学処分の違法性を基礎づける証拠収集を弁護士が代わりに行ってくれたりします。さらに、保護者の方が忙しくて学校側とやりとりができなくても、弁護士に学校側との直接的なやりとりを任せることができます。

  4. (4)法的な手段に進むことができる

    自主退学勧告や退学処分が違法であると学校に主張しても学校が退学処分等を撤回しない場合には、訴訟等の手段をとることも検討すべきでしょう。具体的には、学校側に対して、退学処分無効確認訴訟や損害賠償請求訴訟を提起することが考えられます
    たとえば、次のような場合には、退学処分が違法であると認められる可能性があります。

    ①学校側の調査が不十分であったために、実際には処分を受けるような行為をしていないのに当該行為をした認定された場合。

    学校は、警察のように強制的に捜査をする権限があるわけではありません。調査が不十分なまま間違った情報を基礎にして退学処分を決定してしまう可能性もあります。そのような場合には、学校側が退学処分をする事実の基礎を欠くという理由で、退学処分の違法性を主張することが考えられます

    ②学校側が退学処分をする基礎となる事実があったとしても、その内容や程度により、自主退学勧告や退学処分が妥当とはいえないのに、一方的に自主退学勧告や退学処分が行われた場合。

    仮に、生徒・学生側に学校側が退学処分をする基礎となる事実があったとしても、それを理由として学校側が退学処分を選択することが適法とは言えないのではないかと争う余地があります

    上述のとおり、退学処分について裁判所は、「当該学生を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合に限って退学処分を選択すべきであり、その要件の認定につき他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要するものである。」と判断しています(最高裁判所第2小法廷平成8年3月8日判決・民集50巻3号469ページ)。

    また、文部科学省も「学校は、一度受け入れた生徒については最後まで面倒を見る覚悟で最大限の努力を行う必要があり、退学はそのような最大限の努力を以ってしても事態の解決ができず、教育的な見地からも退学を選択せざるを得ない場合に実施されるべきであって、『懲戒処分としての退学』又は『勧告を受けた自主退学』のように学校側の働きかけによる退学の場合には、特に慎重な配慮が求められる。」(「生徒指導メールマガジン」第8号(平成17年5月27日・文部科学省初等中等教育局児童生徒課))としています。

    このような見解を前提として、「当該学生を学外に排除することが教育上やむを得ないと認められる場合」、「最大限の努力を以ってしても事態の解決ができず、教育的な見地からも退学を選択せざるを得ない場合」に該当しないとして、退学処分の違法性を争う余地があります。

    ③生徒・学生側に退学処分をする基礎となる事実はあったが、学校側から指導や謹慎などの軽い処分を受けることなく、いきなり退学処分を命じられた。

    裁判所や文部科学省がいう「慎重な配慮」がなされず退学処分がなされた場合は、当該退学処分は違法であるとして争う余地があります

    たとえば、広島県教育委員会は、自主退学勧告、懲戒処分としての停学処分・退学処分の前段階として、「特別な指導」(家庭における反省指導、学校における別室での反省指導、所属するホームルームでの反省指導)を定めているようです(「高等学校における問題行動への対応について(生徒指導資料No.25(改訂版))」(平成16年10月・広島県教育委員会))。
    さらに、生徒・学生に対して退学処分を行う場合は、学校側は生徒・学生の意見をよく聴く機会を与えられなければなりません(子どもの権利に関する条約第12条第2項、「児童の権利に関する条約」について(通知)(平成6年5月20日・文部事務次官通知))。

    以上のように、学校側が退学処分をする前にすべき教育的指導をしていなかったり、退学処分をするに際し生徒・学生側の意見を聴く機会を設けていなかったりした場合は、「慎重な配慮」がなされておらず退学処分は違法であるとして争う余地があります

5、まとめ

学校から自主退学勧告や退学処分がされた場合、生徒・学生本人だけでなく、保護者の方も動揺してしまうのも当然です。しかし、学校側に対する対応をどうすべきかをご本人たちだけで検討していると適切に判断することも難しく、時間だけが経過してしまいます。また、対応方針が決まらないまま時間だけが経過していくと、生徒・学生本人の精神状態も不安定になり、自主退学勧告や退学処分が撤回されたとしても、生徒・学生本人が不登校になってしまうなどの望ましくない結果が発生してしまう可能性もあります。
学校からの退学処分に関するご不安があれば、お早めに湘南藤沢オフィスの弁護士までご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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