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経営者が知っておきたい破産と民事再生の違いとは? 弁護士が解説

2022年05月30日
  • 事業再生・倒産
  • 民事再生
  • 破産
  • 違い
経営者が知っておきたい破産と民事再生の違いとは? 弁護士が解説

新型コロナウイルスによる経済の停滞などで会社の資金繰りが厳しくなり、破産を視野に入れなければならない事態になることがあります。令和2年度の司法統計によれば、藤沢市を管轄する横浜地方裁判所における破産の新受件数は5521件でした。

一方、会社が倒産しそうな場合の手続きとして、「民事再生」という方法もあります。著名なメーカーや学校法人などが民事再生を申請した、という報道を見聞きしたことがある方もおられるでしょう。破産と民事再生はどちらも会社の倒産に関して行われる手続きですが、両者が具体的にどう違うのかについてはよく分からず、どちらを選択すればよいか判断できない、という経営者の方もいらっしゃるかもしれません。

本コラムでは、破産と民事再生の違いについて、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスの弁護士が解説いたします。

1、資金繰りが厳しい場合に考えるべき対応

会社の資金繰りが厳しい場合に考えるべき対応として、「債務整理」があります。
債務整理とは、文字通り、借金などの債務を整理する手続きのことです。債務の減額、免除、利息のカットなどをすることができます。
また、債務整理は「私的整理」と「法的整理」に分かれます。

私的整理とは、債務者である会社と債権者が自主的に協議して債務整理を行う方法であり、話し合いによって債務の減免や返済計画の見直しなどを行います。
私的整理は法的整理に比べると方法としては手軽ですが、私的整理が認められるかどうかはあくまで債権者の意思次第となります。

法的整理とは、法律に定められた手続きにのっとって債務整理を行う方法です。
法的整理の方法としては、破産、民事再生、会社更生などがあります。
法的整理は私的整理と比べて手間や費用がかかりますが、債務整理としての効果が大きいことが特徴です。

2、民事再生と破産はどう違う?

法的整理の一種である民事再生と破産について、それぞれの違いと概要を解説します。

  1. (1)民事再生と破産の違い

    ある企業について、負債の総額が資産の総額を上回っている状態を「債務超過」といいます。法律的な意味での倒産は「個人又は企業が経済的に破綻して、弁済期の到来した債務の支払いが困難になった状態と考えられる」ところ、債務超過に陥っている状態は、倒産のリスクが非常に高い状況にあると言えるでしょう。

    民事再生と破産はともに会社が債務超過に陥った場合の法的整理の方法ですが、民事再生では会社は存続するのに対し、破産は会社を消滅させる点に違いがあります

  2. (2)民事再生の概要

    民事再生は民事再生法に基づく手続きです。民事再生の手続きを裁判所に申し立てて受理されると、債務者への弁済の原則禁止や監督委員の選任などが行われることになります。

    民事再生の手続きが開始されると、企業がどのように経営を再生させるかを示す再生計画案が提出されます。
    債権者の可決と裁判所の認可を経て再生計画案が認められると、企業は再生計画案を履行しながら、業務を継続することになるのです

    また、民事再生に伴って経営を改善するための措置として、「不採算事業からの撤退」「一部事業所の閉鎖」「従業員のリストラ」「スポンサーの選定」などが行われる場合もあります。

  3. (3)破産の概要

    破産は、破産法に基づく倒産手続きです。
    裁判所に破産の申し立てをして受理されると、破産する企業の財産の管理や処分を行う破産管財人が選任されます。破産管財人は会社に残っている財産を売却して金銭にし、法律で定められた優先順位に従って債権者に配当することになります。

    全ての財産の処分と配当が終了すると会社は消滅し、破産した会社の従業員は全員解雇されます。売却できる財産がない場合でも、破産手続きによって、会社は消滅するのです

    会社が破産した場合であっても、それだけでは、経営者は原則として損害賠償責任を負うことはありません。
    経営者が責任を負うのは会社の債務について個人として連帯保証人になっていた場合や、悪質な行為をしたことで役員としての責任を追及される場合などです。

3、民事再生ができるケース・できないケースを分ける要素

民事再生が利用できるケースとできないケースとを分ける要素としては、下記のようなものがあります。

  1. (1)民事再生を利用するには費用が必要

    民事再生を利用するためには、まとまった費用が必要です。主な費用は、「裁判所に収める予納金」「弁護士など専門家に依頼する費用」「当面の運転資金」の三つとなります。

    民事再生の手続きを行うためには、裁判所に手続き費用として予納金を収める必要があります。予納金の金額は申し立てを行う裁判所や会社の負債総額によって異なります。会社の負債総額が大きいほど、予納金の金額も大きくなるのです。

    たとえば東京地方裁判所の場合、予納金の金額の目安は200〜1300万円程度です。予納金は監督委員の費用及び報酬、送達・公告費用などに用いられます。

    予納金は原則として一括で納付する必要があり、予納金を用意できなければ、民事再生の制度は利用できません。民事再生を検討する場合には、予納金などに備えて、あらかじめ十分な資金を残しておくことが重要になります

  2. (2)民事再生にはまとまった現金が重要

    民事再生の手続きを利用するには、民事再生を実行した後に発生する費用を賄うために、「2〜3カ月分の運転資金を現金で用意できるか」が重要になります。
    民事再生が実行されると、それまでは手形の振出や銀行振込などの後日決済で支払っていた仕入れ代金などについて、原則として現金払いをすることになるからです。

    従業員の給与、事務所や工場の賃料、光熱費なども基本的に現金で用意する必要があります。再生計画に応じてリストラを行う場合は、場合によっては解雇する社員に支払う退職金なども発生します。

    また、民事再生は手続きが複雑であり、実行するには弁護士などの専門家に依頼する必要性が高くなるでしょう。そのため、専門家に依頼するための費用も用意しておくことが大切です

  3. (3)民事再生には債権者の同意が必要

    民事再生を実行するには、再生計画案について一定の債権者の同意を得る必要があります。具体的には、①債権者集会に出席した議決権を有する再生債権者の過半数の同意(頭数要件)、かつ②議決権総額の1/2以上の議決権を有する者の同意(議決権額要件)が必要となります。

    民事再生に必要な同意を得るためには、「破産するよりも民事再生をしたほうが、メリットがある」と債権者が判断するような、説得力のある再生計画案を用意できるかが重要です。

4、民事再生と破産のどちらを選択すべき?

民事再生と破産のどちらを選択すべきかを判断するために、それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。

  1. (1)民事再生のメリット

    民事再生の主なメリットは会社を存続させられることと、現在の経営陣が引き続き経営に携われることです

    資金繰りが困難になって経営が行き詰まったとしても、民事再生が認められれば、会社を存続させることができます。これまで築き上げてきた会社のブランドやネームバリューを維持しつつ、取引を続けることができるのがメリットです。

    また、民事再生は従来の経営陣がそのまま経営に携わることができるのが特徴です。

    民事再生と同じ再建型の方法として、会社更生法に基づく会社更生がありますが、会社更生手続きは基本的に経営陣が一新されるのに対し、民事再生の場合は監査委員の監督のもとで経営を続けることができます。

  2. (2)民事再生のデメリット

    民事再生の主なデメリットは社会的な信用やイメージが低下する可能性があることと、担保権が実行されるリスクがあることです

    民事再生をすると再生計画の認可決定などのタイミングで官報に掲載されるほか、企業を対象とするデータバンクの倒産情報などに掲載されることがあります。また、ニュースなどで自社の民事再生について報道される場合もあります。

    民事再生をしている事実が明らかになると、企業としての社会的な信用やブランドイメージの低下につながる可能性があります。

    さらに、民事再生をすると通常の債務は弁済が猶予されますが、担保権は行使できるという特徴があります。
    会社の資金繰りのために抵当権などの担保権を財産に設定していた場合、民事再生をすることで担保権が実行されてしまい、財産を喪失するリスクがあるのです。
    たとえば、企業が所有している本社ビルに抵当権を設定している場合、民事再生の開始によって危機を感じた債権者が抵当権を実行してしまうと、経営に大きく関わる本社ビルを喪失してしまいます。
    民事再生に伴って担保権を実行されたくない場合は、担保権を有する債権者と十分に話し合い、権利の実行を思いとどまらせることが重要です。

  3. (3)破産のメリット

    破産の主なメリットは、債務や会社から解放されることです

    破産手続きが開始されると債務の返済や取り立てが行われなくなるので、債務に関する負担から解放されます。また、個々の債権者と返済方法などを交渉する負担もなくなります。

    破産手続きが完了すると会社は消滅してしまいますが、債務超過に陥っている会社のやりくりが負担になっていた場合などには、過大な負担から解放されて、生活を立て直すきっかけになるでしょう。

  4. (4)破産のデメリット

    破産の主なデメリットはメリットと表裏一体ですが、会社が消滅することです

    裸一貫から会社を築き上げてきた場合や、代々の経営者から老舗企業を引き継いだ場合など、破産によって会社を消滅させることが心情的に苦しくなるケースもあるでしょう。

    また、破産手続きが完了すると会社は消滅するため、それまで勤務していた従業員は全員解雇することになります。長年会社に貢献してきた従業員や、家族同然に付き合ってきた従業員を解雇しなければならないなど、経営者にとっても心苦しい結果になることがあるのです。

5、まとめ

会社の資金繰りが苦しくなって債務超過に陥った場合の法的整理の方法として、破産や民事再生などがあります。

破産は手続きが完了すると会社が消滅して存在しなくなるのに対して、民事再生は会社を存続させながら経営を立て直すのが特徴です

民事再生は会社を存続させられることと、既存の経営陣が引き続き経営に参加できるのがメリットです。一方、民事再生を実現させるにはまとまった運転資金や債権者の同意などが重要です。

神奈川県藤沢市の周辺にお住まいで、破産や民事再生についてお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスにご相談ください。
倒産手続きについて知見のある弁護士が真摯(しんし)に対応して、会社にとってベストな解決方法を見つけるために全力でサポートいたします

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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