親権争いで望んだ結果を得るには? 湘南藤沢オフィスの弁護士が解説

2019年12月26日
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親権争いで望んだ結果を得るには? 湘南藤沢オフィスの弁護士が解説

夫婦が離婚すると、通常、いずれか一方の親が「親権」を獲得し、子どもを育てる権利を得ます。子どもは、何ものにも変えられない大切な宝です。「親権だけは譲ることができない」と考えている方も多いでしょう。子どもの親権を巡って夫婦が争うことが多いのも納得できます。

ここでは、離婚問題に直面し、子どもの親権獲得を目指している方のために、親権争いを有利に進めるためのポイントを解説します。

1、権利でもあり義務でもある「親権」とは?

離婚の際に、「親権を争う」という事態に発展することが多いことは、すでにご存じの方が多いでしょう。

本来、夫婦の間に生まれた子どもは、夫婦が協力して健全な成長を扶助することになります。ところが、夫婦が離婚することになれば、その協力関係は失われ、夫婦の間に存在する未成年の子どもについては、夫婦のいずれか一方が「親権者」となって育てることになります。

子どもは、親の扶助がなければ健康に、安全に、成長することはできないので、子どもの親権は非常に重要な問題です。そのため、子どもの親権を無視したまま離婚の手続きを進めることができないように法律で定められています。

親権といえば、「どちらが引き取るのか」というイメージを持つ方が多いかもしれませんが、そう単純なものではありません。「親権」は、権利であると同時に子どもの成長を扶助する「義務」を負うことになります。

親権は、大きく「財産管理権」と「身上監護権」の2つに分けられます。

  • 財産管理権……包括的な財産管理と子どもの法律行為に対する同意権など
  • 身上監護権……身分行為の代理・居所の指定・しつけなどの懲戒・職業の許可など


一般的には、親権者が財産管理権と身上監護権の両方を得るケースが多いですが、「父親が親権者となったが、海外出張が多く身の回りの世話ができない」といったケースでは、親権者と身上監護権者が別になることもあります。

2、離婚の手続きによって異なる、親権者決定の流れ

離婚の手続きにはいくつかの種類があります。

  • 夫婦が話し合って離婚をする「協議離婚」
  • 裁判所における調停手続を経て離婚をする「調停離婚」
  • 調停で決着しないため、裁判によって離婚する「裁判離婚」


親権者は離婚時に決定しなければならないため、それぞれの離婚の手続きに応じて親権者決定の方法も異なります。

〈協議離婚の際の親権者の決め方〉
協議離婚の場合は、夫婦がお互いに話し合って親権者を決定します。手続きとしては離婚届にどちらが親権者となるかを記載するだけですが、お互いに子どもを第1に考える必要があるでしょう。

〈調停離婚の際の親権者の決め方〉
協議離婚で話がまとまらない場合は、家庭裁判所に離婚調停の申し立てを行い、調停手続きに移行します。調停では、調停委員を仲介して離婚の条件面などを話し合いますが、ここでも親権者について話し合いによる決定を目指します。

〈裁判離婚の際の親権者の決め方〉
調停で決着がつかない場合は調停不成立となり、離婚訴訟、つまり裁判を起こし、判決を受けることになります。離婚の条件面で親権者について争いがある場合は、裁判所が判決において親権者を指定します。

3、離婚調停・離婚訴訟で親権を争う場合のポイント

離婚調停・離婚訴訟で親権を争う場合には、次のポイントを意識しましょう。

  • 子どもに対して愛情を持っているか
  • これまで子どもに対してしっかり面倒をみてきたか
  • 今後、子どもを育てるのに適切な環境を用意できるか
  • 子ども自身の意思に反していないか
  • 自分以外に子どもの世話を手伝ってくれる人はいるか
  • 引っ越しや転校などで子どものメンタルに悪影響を及ぼさないか
  • 兄弟姉妹が離れ離れになってしまわないか
  • 子どもの面会交流権をおろそかにしないか
  • 子どもを養育するのに支障がない程度の収入があるか
  • 配偶者を親権者とするのが不適当である事情がないか


ここで示したポイントを見るとわかるとおり、親権者の決定においては、「子どもの健全な成長においてどちらが親権者となるのが適切か?」という点が最重視されます。単純に「子どもと離れたくない」と望むだけでは、調停委員や裁判官の納得を得ることはできません。

現在のままでは不適切であるとしても、これからどのように改善していくのか、どのような具体的な方策があるのか、といった点を論理的に主張し、説得する資料を準備しておくことが大切です。

4、親権が得られなかった場合の対処法

夫婦間の話し合いや裁判所の決定によって、残念ながら親権を獲得できないことになったときにはどのように対処するべきなのでしょうか?

まず、離婚協議において配偶者が親権を主張した場合、あなたが親権を強く望むのであればできる限り有利な事情を集めて離婚調停を申し立て、調停委員の判断を仰ぐべきです。配偶者が主張を譲らず、調停においても不利な判断になった場合は、専門家に相談の上、裁判で争い、親権獲得を目指しましょう。

それでも親権獲得がかなわなかった場合は、子どもとの面会交流権を確保することに専念するのが賢明です。離婚して親権を獲得できなかった場合は「子どもとは会わせたくない」として元配偶者が子どもとの面会を阻止するケースがあります。

自分が子どもと会えなくなってしまう寂しさもさることながら、面会交流については、親以上に子どもが健全に成長していくために必要なものです。子どものためにも、離婚が決着するまでに面会交流についての取り決めを行いましょう。

面会の回数・場所・方法などをしっかりと定め、両親がその約束を守るということは、子どもの精神的安定にもつながります。また、あなた自身も、親権を獲得できなかった場合に子どもと面会する機会を確保できます。

5、親権の獲得を目指すなら弁護士に相談

離婚に際して親権争いが生じた場合は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。親権争いにおいてもっとも重要なのは、子どもの育成に適した環境づくりを行うとともに、「親権者となる適格がある」ことを理解してもらえるように、これまでの子どもに対する監護実績や今後の養育環境について適切に主張することです。

離婚や親権トラブルの解決実績が豊富な弁護士なら、調停委員や裁判官を納得させる方法を熟知しています。的確なアドバイスを得て、親権獲得を目指す道筋を立ててくれるでしょう。

また、あなた自身が子どもと過ごすための貴重な時間を、これから別れる配偶者との交渉で割く必要がありません。弁護士に一任することで、配偶者との交渉、調停や訴訟への出席を委任することができます(ただし、調停手続は基本的にご本人も出席します)。自分にとって最大限に有利な条件で親権獲得を目指すことができるだけでなく、交渉なども代行してもらうことができます。

6、まとめ

子どもはかけがえのない宝物です。親権を得たいと考えるのはごく自然な感情ですが、それは配偶者も同じことですから、争いが生じても致し方ありません。

もし、離婚に際して子どもの親権を巡って配偶者と主張を戦わせているのであれば、早急に弁護士にご相談ください。的確なアドバイスと対策を講じることで、親権の獲得を目指すお手伝いをいたします。
ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスでは、離婚問題や親権争いに対応した実績が豊富な弁護士が、親権獲得のためにサポートします。まずはご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています