浮気調査は誰ができる? 調査結果が得られた後の離婚までの流れ

2021年09月02日
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浮気調査は誰ができる? 調査結果が得られた後の離婚までの流れ

近頃、夫の様子がおかしい。すっとスマートフォンを隠したり、よそよそしい態度をしたり、いつもと違う時間に出掛けたり、もしや浮気をしているのでは?

こんな思いで夫を疑いながら生活を続けていると、妻の心は疑惑と不安で疲れ切ってしまいます。そんな不安から一歩進むためには、思い切って浮気調査を依頼するのもひとつの手です。

本記事では、興信所などが行う一般的な浮気調査の例を紹介しつつ、浮気が見つかった場合は離婚できるのか、どんな証拠が必要なのか、といった疑問に弁護士が解説します。

1、浮気調査の一般的な内容

浮気調査は、探偵事務所や興信所などに依頼することができます。
では、浮気調査を依頼した場合、具体的にはいったいどんなことをしてくれるのでしょうか

  1. (1)尾行

    浮気調査でよく行われるのは尾行です。尾行とは、調査の対象者の行動を実際に監視して、証拠をおさえる行為です。

    調査対象者を尾行することによって、以下のようなことが証拠として挙がってくる可能性があります。

    • 浮気をした日時
    • 浮気の場所
    • 浮気相手の名前
    • 浮気相手の住所
    • 夫と浮気相手の関係
    • 浮気の回数


    尾行調査を依頼する際には、調査員に対して、調査対象者となる夫の特徴をしっかりと伝えることがポイントです。人混みでも見失わないように夫の顔や身体の特徴を具体的につかんでもらう必要があるからです。

    また、尾行は長時間に及ぶこともありますし、ずっと同じ人物が尾行していると、相手に気づかれるリスクも高まります。そのため、尾行は数人の調査員チームで行われることもよくあります
    なお、調査員の人数や尾行の時間が長いほど、調査費用が上がるのが一般的な傾向です。

  2. (2)張り込み

    張り込みは、調査対象者が現れるのを待って、現れた際の証拠を押さえるか、現れた後に尾行を開始して調査を進める手法です。張り込みのポイントは、以下のようなものです。

    • 調査対象者が現れるまで根気強く待つこと
    • 調査対象者の特徴をしっかり頭にたたき込んで、姿を見せたらすぐに証拠をとれるように準備しておくこと
    • 調査対象者が移動する場合に備えて、尾行を開始する体制を整えておくこと


    張り込みは、調査対象者が表れる場所や時間を特定して行います
    サラリーマンであれば、会社を出る時間に会社の入り口で張り込んだり、自宅から浮気現場に行っている様子があれば、自宅前で張り込むこともあります。

  3. (3)写真・動画撮影

    尾行や張り込み中に、調査対象者が浮気の証拠になる行動をとった場合は、即座にその浮気現場を撮影し、写真や動画で証拠をおさえます。
    写真や動画は有力な証拠ですから、慰謝料請求や離婚の際にも大きな力を発揮します

  4. (4)聞き込み

    聞き込みとは、調査対象者と関係のある人物にひとりひとり話を聞き、浮気しているかどうか、している場合には相手は誰で、どんな状況なのか、その実態を調査する方法です。
    ただし、聞き込みは調査対象者の知人や関係者に行うことが多いため、結果として調査対象者に調査がバレてしまうリスクがあります。そのため、浮気調査では、聞き込みはそれほど一般的ではありません
    他方、所在不明者を捜す調査では、今でも聞き込みの手法がよく使われています。

  5. (5)GPS探知調査

    調査対象者が乗っている自動車に、GPS位置情報機器を取り付けて走行ルートや駐停車の位置の調べることができる調査方法です。尾行や張り込みと異なり、調査担当者が現場に行って調査する必要がないため、費用も比較的割安です。夫が車で浮気現場に行っている可能性がある場合や、まずは移動経路の調査から始めたいという方が多く利用しているようです。

    なお、GPS探知調査には、GPS発信器を調査会社が車両に取り付けに来ててくれる場合と、依頼者がGPS発信器をレンタルで借り受けて、自分で夫の車に取り付ける場合とがあります。後者の方が料金を抑えられますが、自分できちんと取り付けられるかどうか不安という方、取り付ける際に夫にばれるのが不安という方は、調査会社に取り付けを依頼するようです。なお、夫婦共同で使用していない車や第三者の車などに取り付けることは違法となる恐れがあります

  6. (6)浮気調査を依頼する際のポイント

    浮気調査を依頼する前には、夫の生活時間を妻がよく把握しておくことが重要です。普段の生活パターンをよく観察し、浮気が疑われる場面や時間帯をある程度予測するためです。
    一般に、調査の期間が長くなればなるほど、調査費用も上がっていく傾向にあります。ピンポイントで浮気している場面だけを調査できれば、費用も安くおさまる可能性も高く、もちろん、証拠をつかめる可能性もアップします。
    調査を依頼する前に、できるだけの情報をつかんでおくようにしましょう。

2、弁護士に浮気調査は依頼できる?

弁護士に不貞問題について相談した場合、弁護士に浮気調査を依頼することはできるのでしょうか。
この点、弁護士が、自ら不貞調査を行うことはありません。弁護士はあくまで依頼者の法的な相談に対応し、また、依頼者の代理人として相手に対して慰謝料の請求や交渉などを行うのが仕事だからです。

ただし、法律事務所の中には、信頼できる探偵事務所や興信所を紹介してくれるところもあります。たくさんある調査事務所や興信所の中から自分に合ったところを探すのは難しいことです。

まずは弁護士に配偶者の浮気について相談し、浮気調査の必要性についてもたずねてみるといいでしょう。そして、必要があれば、信頼できる調査事務所や興信所を紹介してもらうと安心です。

浮気調査の結果、夫の浮気が判明した場合は、引き続きその弁護士に慰謝料や離婚手続きについてもアドバイスを受けることができます

3、法的に離婚が認められる浮気の証拠とは?

浮気を理由として慰謝料の請求や離婚が認められるためには、なんといっても証拠が重要です。
では、法的に離婚が認められる不倫の証拠にはどんなものがあるのでしょうか

● 夫と浮気相手の性行為中の写真、動画
不貞行為は、配偶者以外の人と肉体関係をもつことを言います。キスやハグなどだけでは不貞行為とは認められません。夫と浮気相手の性交渉中の写真や動画があれば、不貞の有力な証拠となります。

● ラブホテルに2人で出入りしている写真、動画
性交渉は通常、密室で行われます。そのため、性交渉中の現場写真をおさえるのは簡単ではありません。ただし、ラブホテルに出入りする瞬間の写真や動画があれば、有力な証拠となり得ます。ラブホテルは性交渉を目的として利用する可能性が極めて高い場所ですから、そこに出入りした現場の写真は性交渉を行ったことを強く推認させる力があるのです。

● ラブホテルなどの領収書
同じ理由から、ラブホテルを2人で利用した際の領収書も浮気の証拠となり得ます。

● 肉体関係を持ったことを話しているSNSやメールのやりとり
浮気相手と肉体関係を持ったときのことを2人で会話しているLINEやチャットのやりとりは、浮気を推認させる重要な証拠となります。
ただし、「好き」「会いたい」「今日も楽しかった」といった内容では不貞の証拠とは言えませんので、セリフの中から性交渉に関するやりとりがあるかをしっかり確認する必要があります。

● 浮気を認める書面・妻への謝罪の手紙
浮気が発覚した際に、夫に書面を一筆書いてもらうのもおすすめです。浮気を認めて妻に謝罪する内容の書面や手紙を書いてもらえば、浮気の証拠を残すことができるからです。なお、浮気を認める夫の告白の録音も証拠になります。

● 探偵事務所や興信所の調査報告書
探偵事務所や興信所が、浮気についてしっかりと調査を行い、その結果を書面としてまとめたものを調査報告書といいます。尾行の結果として得られた浮気現場の状況や、正確な日付、場所などが詳細に記載され、写真などが添付されています。この調査報告書は浮気の証拠として裁判所にも提出することができる有効なものです。

4、浮気を理由に離婚するとき請求できるもの

浮気を理由に離婚する場合、妻から夫に請求できる内容を整理しておきましょう。

  1. (1)慰謝料

    浮気は不法行為であり、慰謝料の発生原因とされています。
    不貞慰謝料の金額は、夫婦の結婚期間の長さや、不貞の程度や状況(頻度、回数、期間、夫と浮気相手との関係性等)によって上下します。相場としては数十万~500万円程度と幅は広く、離婚に至る場合や別居する場合など、個別の事情によって変わってきます

    しっかりとした慰謝料を確保するためには、証拠が肝心です。夫は、妻が自分の浮気を疑っていることに気づくと、証拠を隠したり、浮気相手とのやりとりメールを削除するなどの行動に出ます。浮気の可能性がある場合は、夫に気づかれる前に、浮気の証拠を集めるように意識しておきましょう。

  2. (2)財産分与

    離婚は夫婦生活の清算の場面でもあります。これまで2人で築いてきた財産(共有財産といいます)を分け合って、別々の道を歩んでいくことになるわけです。この、共有財産の分配行為を財産分与といいます。預貯金や生命保険の解約返戻金、不動産、有価証券など、共有財産をあらいだしたうえで、原則として2分の1を請求することができます。

  3. (3)養育費

    妻が子どもを引き取る場合は、夫に対して養育費を請求することができます。
    養育費の額は、夫と妻の収入と子どもの年齢・人数によって決まります。離婚後に子どもを安心して育てていくために、養育費請求は重要なポイントです。インターネット上で養育費の計算ツールも公開されていますが、正確な金額や確実な回収方法については、弁護士にアドバイスを受けたほうがよいでしょう。

5、まとめ

本記事では、夫の浮気が疑われる場合の対処方法として、興信所などが行う浮気調査の一般的な例を説明しました。ご自身のケースで浮気調査が必要なのかどうか、そもそもどんな証拠が必要なのか、迷う方も多いでしょう。

ベリーベスト法律事務所では、浮気の「可能性がある」という段階でのご相談であってもご相談をお受けしております。そして、不貞慰謝料、その後の離婚や養育費など、男女問題にかかわるあらゆるご相談に応じています。夫の浮気問題で悩み続けるのは精神的にも負担が大きいものです。ぜひ一度ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスまでご相談ください。親身にお話を伺います。

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