不貞行為をした配偶者と不倫相手に慰謝料を請求したい! 証拠を集める方法とは?
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平成29年、藤沢市にある新江ノ島水族館では、メス同士のカップルで卵を温めるペンギンがニュースで紹介されて話題になりました。父親はすでにつがいがいるペンギンと想定されていて、独身のメスペンギンと関係を持った末、卵を産んだという可能性が高いようです。
もしこのニュースが人間の話であれば、当事者たちは大変です。不倫、妊娠、子どもの認知、離婚など、さまざまな問題が生じることでしょう。配偶者が不倫をしていると、日常生活の中で何かしらを感じ取るものです。しかし、確たる証拠をつかまなければ、有利な条件での離婚や慰謝料請求は困難です。
ここでは、配偶者の不倫の証拠をつかみ、配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求するために必要な証拠集めについて、弁護士が解説します。
1、慰謝料を請求するために必要な証拠
まずは、なぜ不倫をされた側が不倫をした当事者へ慰謝料を請求することができるのかについて知っておきましょう。
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(1)不貞行為とは?
「結婚」は一種の契約です。結婚をすると、たとえば扶養義務や貞操義務など、いくつか夫婦間で守らなければならない義務が生じます。他方、「不貞行為」とは、婚姻関係にある者が、配偶者以外の異性と自由な意思に基づいて性交することです。したがって、不貞行為は守るべき貞操義務を破った不法行為に該当すると解釈されます。
そのため、配偶者に対しては貞操義務に違反したことを理由に、不貞行為の相手には婚姻生活の平和維持という利益を侵害されたことを理由に、慰謝料を請求することができるということになります。
なお、不貞行為は、裁判によって一方的に離婚をすることが認められる事由を定めている民法第770条1項の「法定離婚事由」のひとつに該当します。したがって、不貞行為が存在すれば配偶者が拒んでも、最終的には裁判所が離婚を認めることになります。 -
(2)不貞行為の証拠
相手が不貞行為をしたことを認めない場合には、不貞行為をしていたという証拠が必要になります。
不貞行為を証明する証拠としては、次のようなものが挙げられます。- 配偶者、相手方の自白
- 第三者の証言
- ラブホテルへ出入りしている動画や写真
- ラブホテルの領収書、レシート、利用明細など
- 不貞行為を記した日記やメモ類
- 不貞行為を示すメールやメッセージ類、通話履歴など
不貞行為があったと直接的かつ客観的に証明できる証拠が存在するケースはまれであるため、多くのケースでは「不貞行為の存在を推認できる証拠」になるでしょう。多数の小さな証拠を積み上げて証明を試みるというケースもあります。詳細については弁護士に相談してください。
2、不貞行為の証拠集めで気をつけたい3つのポイント
前述のとおり、自分で察知したり配偶者が認めることによって不倫明らかになった場合、不貞慰謝料請求を検討しているのであれば不貞行為の証拠を集めることになります。たとえ裁判にならないとしても、証拠がないことはもめごとのもとになるため、できる限り証拠を集めてから相手と話をするほうがよいでしょう。
そこで、不貞行為の証拠を集めるときに気をつけたいポイントを紹介します。
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(1)自白は物理的に残す
配偶者や不倫相手が「肉体関係がありました」と認めた場合は、念書や録音などの物理的な証拠を残してください。後で「そんなことはいっていない」「肉体関係はなかった」などと意見を翻すことがよくあるからです。また、「当時は認めるような発言をしたが、そう言うしかなかった」「脅迫的に感じて認めざるを得なかった」などという反撃を防ぐために、配偶者と不倫相手の双方から念書や録音などの物理的な証拠を残しておくことをおすすめします。
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(2)違法行為に注意する
不貞行為の証拠を集めていると「相手が悪いのだから」と、つい違法な収集方法に走ってしまうことがあります。証拠の収集方法が違法であった場合、最悪の場合には裁判所が証拠として採用してくれないこともありますし、あなたが何らかの犯罪に該当する行為をしてしまっている場合には刑事処分を受ける可能性さえ否定できません。不貞行為の証拠収集は、常に合法であるように注意しましょう。
たとえば、次のような証拠収集は違法になる可能性が高いです。- 電話の内容を盗聴する
- 配偶者や不倫相手の所有物を無断で取る、隠す
- 無断でパスワードロックを解除する
- 暴力や脅迫によって自白させる
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(3)デジタルデータは避ける
スマートフォンには写真や動画の撮影、録音などの便利で高性能なアプリケーションがあるため、容易に証拠化することができるようにも思えます。もちろんそういった面もあるのですが、デジタルデータはソフトウエアを利用することで偽造・改変が可能であるため、証拠能力が否定されやすいという一面もあります。
ラブホテルの出入りをしている写真やメール・メッセージが表示されたディスプレイの撮影、話し合いの様子の録音などは、可能であればテープやフィルムなどの改変不能な媒体に記録しましょう。
3、不貞行為の慰謝料の相場
不貞行為の慰謝料の金額については条文上の規定がありません。双方が同意し、支払いさえすればいくらでもよいということです。しかし、誰にでも資産には限りがありますし、その後の生活もあります。そのため、裁判となったときに認められるであろう金額を目安に慰謝料額を交渉することが多くなります。
慰謝料額が増額、もしくは減額される要因の例は以下のとおりです。
- 不倫関係にあった期間
- 婚姻していた期間
- 不貞行為に至った経緯
- 該当の不貞行為が原因となって、離婚するかどうか
- 子どもの有無
- 妊娠の有無
- 支払う側、受け取る側の社会的地位・収入
- 不貞行為発覚後の対応
以上のようなさまざまな項目について個々のケースごとに勘案するため、同じような事例でも妥当な慰謝料額には差が出てくることがあります。一般的な相場としては50万から300万円程度と言えますが、相場はあくまでも相場であって、必ずしも相場どおりに請求できるわけではありません。また、状況によっては相場よりも高い慰謝料額が認められることもあります。
4、慰謝料請求を弁護士に任せる4つのメリット
配偶者の不倫で慰謝料を請求するなら、弁護士に相談して一任するのが賢明です。なぜ弁護士に任せるほうがよいのか、慰謝料請求を弁護士に任せるメリットを紹介しましょう。
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(1)適切な慰謝料を請求できる
弁護士は、不倫や離婚にまつわる裁判例を熟知しており、事例や個々の条件に応じた適切な慰謝料額の判断をすることができます。パートナーに不倫をされたという精神的な苦痛を金銭に換えて少しでも納得するために、できる限り最適な慰謝料額を算定することでスムーズな交渉が可能になります。
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(2)不倫相手に会う必要がない
パートナーに不倫をされた方が不倫相手と面接する場合、相手の顔をみて激昂してしまうことも少なくないでしょう。冷静に話し合うことも難しくなり、場合によってはその場の対応が自分自身の立場を悪くしてしまうことも考えられます。
弁護士に一任することで、不倫相手との交渉は全て弁護士が請け負うことになります。手間がかかるうえに不快な不倫相手との交渉を、弁護士が冷静かつ的確に遂行して慰謝料の支払いにつなげてくれることでしょう。 -
(3)解決が早い
慰謝料請求を自分自身で行うことは可能です。しかし、配偶者や不倫相手との交渉や、調停・訴訟など裁判所の手続きなどには、時間も手間もかかってしまいます。トラブル解決の経験が豊富で、法的な手続きにも熟知している弁護士に任せることで、スピーディーな解決を図ることができます。
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(4)不倫相手へのプレッシャーになる
不倫相手にとって、弁護士からの通知や弁護士との面接は強いプレッシャーになります。こちら側には折れる姿勢はなく、断固として法的に正当な主張をしていくというアピールになるため、結果としてより高い慰謝料を認めさせることに期待ができます。
5、まとめ
配偶者の不倫が発覚すれば、誰もが冷静ではいられなくなります。しかし、冷静さを欠いてしまえば、慰謝料請求や離婚に伴う財産分与・親権などの交渉が不利になってしまうこともあるでしょう。配偶者の不倫について慰謝料請求は、不倫や離婚トラブルに対応した実績の豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスでは、不倫をした配偶者や不倫の相手方に慰謝料を請求したい、不貞行為の証拠を集めたい、という方へ、適切なアドバイスを行います。ぜひお気軽に相談してください。
- この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています