キャッシングで借金地獄に。 返済をまとめるほかに知っておきたい解決方法

2021年05月25日
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キャッシングで借金地獄に。 返済をまとめるほかに知っておきたい解決方法

複数の金融機関からの借金があり、返済や支払いの管理に困っていませんか? 借入先が増えてくると次第に管理が難しくなり、返済に追われる日々が続きます。そんな場合、借金をひとつにまとめることができれば、返済計画を立てやすくなるなど、さまざまなメリットがあります。

本コラムでは借入先をまとめるメリットや、おまとめローン以外に、借金問題を解決する方法について弁護士が詳しく説明します。

1、借入先が複数ある場合のデメリット

そもそも、借入先が複数あることで、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

  1. (1)金融機関ごとに返済期日と返済額を管理するのが負担

    借入先が複数あるということは、ひと月に何度も返済をしないといけないということです。
    銀行ローンでも消費者金融でも、借入先によって返済の日も異なりますし、返済金額も異なります。

    借入先が増えることで、そもそもどの金融機関にいつまでにいくら返済するのか、わからなくなることも珍しくありません。お金の管理を継続するのはなかなか難しいことであり、借入先が増えれば増えるほど、大きな負担となります。

  2. (2)資金計画を立てにくい

    借り入れをした以上、計画的に支出を見直し、返済を続けなければなりません。計画的にお金を使い、返済に回すという流れを作ることで、支出と返済のバランスがわかり、生活が安定してくるのです。

    ところが、借入先が複数になると、次々に返済日が来るため、返済に追われる日々が続きます。すると、支出と返済のバランスを立て直すきっかけをつかめず、返済を含めた資金計画を立てづらい状況になってしまいます。

  3. (3)金利や遅延損害金がふくらむ

    借入先が複数あると、金利が高いものも含まれている可能性があります
    高い金利の借金を返すために、また別の金融機関で借り入れをするという悪循環が生まれるリスクがあります。また、うっかり返済を忘れると、利息とは別に遅延損害金が付加されて、借金がどんどん増えていく状況になります。借入先が増えるほど、こうしたリスクが高まる点もデメリットです。

  4. (4)精神的に追い詰められる

    借入先が複数あると、次から次へと督促状が届くなど、返済に追われる状況になります。返済に追われると、精神的な負担が増して追い詰められることがあります

    本来、借り入れは生活を改善させるために行うものですが、借入先が増えることによって精神的に苦しくなり、かえって生活が不安定になるという悪循環が起きる点もデメリットです。

2、借入先をまとめるメリット

  1. (1)返済の計画が立てられる

    複数の借入先があると、それぞれの返済日がいつなのか、いくらを返済すべきなのか、あと何回支払えば完済するのか、把握できなくなりがちです。こうなると、ただただ借金に追われるだけの生活になってしまい、将来の見通しも立てられません。
    借金を1本にまとめることができれば、借金の総額が一目でわかり、今後の返済計画も一目瞭然です。

  2. (2)金利が安くなる場合がある

    借金がふくらむ理由として、もともとの借り入れ条件が悪いとか利率が極端に高いといった場合があります
    もともとは金利の低いところで借りていたが、次第に返済が間に合わなくなって、審査が手軽な代わりに利率が高めのキャッシングなどを繰り返してしまったということもあります。

    このようなとき、おまとめローンの利用によって金利が下がるケースが多々あります。金利が下がれば、返済総額も減るため、そのメリットは大きいでしょう。

  3. (3)返済期間や月々の支払額を見直せる場合もある

    借り入れをまとめる際に、返済の期間を延ばせる可能性があります
    返済期間が延びれば、月々の返済額が減り、より確実に借金を返済できる見通しが立ち、生活の立て直しが見込めます。

3、返済ができないとどうなる?

借金を返さずに放置していると、元本や利息に加えて遅延損害金が発生します。

遅延損害金とは、返済期限までに返済できなかった場合に発生する損害賠償金のことです。たった1日でも返済期限を過ぎてしまうと、遅延損害金支払いの対象になります

なお、利息と遅延損害金は別のものです。利息は借り入れた日から返済の日までに発生するものです。したがって、返済期限までにきっちり返済しても、利息は発生しているわけです。

返済期限よりも早く返済すれば、早く返した分だけ、利息を節約できます。一方で、遅延損害金は、返済期限までに返済できなかったときに、それ以降に毎日発生するものです。

決められた返済期限までにきっちり返済すれば遅延損害金は発生しません。返済期限から遅れれば遅れるほど、遅延損害金は増えていくので、借金を放置するうちに遅延損害金が大きく膨れ上がるリスクがあります。

4、借金問題を整理する債務整理とは?

借金問題を解決する方法を、債務整理といいます。
債務整理には、大きく分けて、任意整理、個人再生、自己破産の3種類の方法があります。それぞれについて詳しく解説します。

  1. (1)任意整理

    ① 任意整理とは
    任意整理とは、裁判所を通すことなく、金融機関と話し合いをして、利息のカットをしてもらったり、分割払いの回数を増やしてもらったりして、毎月の支払いの負担を軽減させる手法です。

    貸金業者側としては、貸したお金が返ってくるかどうかは大きな賭けでもあります。借り手が、次に説明する「自己破産」手続きをとると、貸金業者は取り立てができなくなり、いわゆる、貸し倒れ状態になります。
    そのリスクを避けるため、貸金業者は減額交渉に応じてくれるわけです。

    ② 任意整理のメリット
    任意整理のメリットは、裁判所が関与しないため裁判所に出向く必要がないこと、裁判所を利用する手続よりも必要書類が少ないこと、貸金業者との話し合いがスムーズに進めば裁判所を利用する手続よりも解決までの時間が短くなる可能性が高いこと、手持ちの財産を処分する必要がないこと、そして、第三者に一切知られずに手続きを進められる可能性があることです。

    たとえば、自己破産では、手持ちの財産があれば処分する必要があります。
    また、個人再生では財産を処分する必要はないものの、不動産などの高価な財産がある場合には借金減額幅が小さくなる可能性があります。つまり、手持ちの財産の額によって手続きの結果が異なるのです。

    これに対して、任意整理では自分が持っている財産の額はそもそも関係なく、原則として処分する必要はありません

    また、自己破産も個人再生も、官報に必ず自分の氏名が公開されます。自分が借金を抱えてしまい、対処しきれず、裁判所の債務整理手続きをとったことが公開されてしまうのです。

    また、自分自身が、裁判所に出頭しなければならない可能性が高いです。
    任意整理は、官報にも載らず、裁判所に出頭することもありません。任意整理は、貸金業者との話し合いですので、誰かに知られることなく、進めることも可能な方法です。

    ③ 任意整理のデメリット
    任意整理のデメリットは、個人再生や自己破産に比べると、借金減額の効果が薄い点です。
    原則として、借り入れた元本は全額返さなければならず、今までに発生した利息や今後発生する利息についてもカットしてくれるかは貸金業者次第ですから、劇的に生活再建ができるとは言い切れません。

  2. (2)個人再生

    ① 個人再生とは
    個人再生とは、裁判所が認めた計画案に沿って借金総額を圧縮し、返済を進める手続きです。例えば、借金総額が500万円以上1500万円未満の場合は、5分の1に圧縮することができます(住宅ローンは除きます)。圧縮した金額を、原則として3年間で弁済していく計画を立てることになるのです。

    ② 個人再生のメリット
    個人再生のメリットは、任意整理よりも大きく弁済額を減らせること、自己破産と異なり、自宅などの手持ち資産を手放すことなく借金を減らせることです。

    ③ 個人再生のデメリット
    個人再生のデメリットは、任意整理に比べれば書類の準備等に時間がかかること、官報に名前が掲載されること、そして、定期的な収入がなければそもそも個人再生手続きが認められないこと、などです。
    したがって、収入が不安定な場合や無職の場合は、個人再生以外の方法を選ぶことになります。

  3. (3)自己破産

    ① 自己破産とは
    自己破産とは、裁判所を介して、保有する資産を金銭に変えて債権者に分配し、残った債務について全て免責してもらう(借金を0にしてもらう)ことで、借り手の生活を再建させるための裁判所の手続きのことです。

    裁判所に対して、破産手続きの開始と免責許可(借金を0円にしてもらう許可)の申し立てを行い、免責許可決定が確定すると、それまで抱えていた借金から解放されるわけです。

    ② 自己破産のメリット
    自己破産のメリットは、なんといっても、借金が0円になることです。任意整理は原則として利息のカット、個人再生は例えば借金の5分の1までの圧縮であるのに対し、自己破産は支払いのすべてが免除されるという大きな効果があります。

    ③ 自己破産のデメリット
    自己破産のデメリットは任意整理に比べると必要書類が多く、手続きに時間がかかること、原則として自宅不動産を含めた手持ちの資産を処分しなければならないこと、官報に名前が掲示され自己破産した事実が公開されること、国家資格が必要な職業等についてはその職業に就くことができなくなること、などです。

5、弁護士に借金問題(任意整理)を相談するメリット

  1. (1)取り立てを止めることができる

    毎月の返済額と収入のバランスが悪く、多重債務に苦しんでいる方で、もっとも大きな問題は、貸金業者からの取り立てです。昼夜問わず、いつでも取り立てが来るのは大きな苦痛です。まずは、貸金業者の取り立てを止めることが、生活再建の一歩として重要です。

    貸金業法21条1項9号では、貸金業者が弁護士から受任通知を受け取った後に直接取り立てを行ってはいけない、と定められています。弁護士に依頼すると、弁護士が受任通知を発送しますので、それだけで、取り立てを止めることができるというわけです。

    取り立てが止まることで、心理的負担が軽減し、冷静に借金問題に取り組むことができます。

  2. (2)自分の事情に沿ったベストな選択ができる

    債務整理には複数の方法があり、それぞれにメリットデメリットがあります。消費者金融やカードローンなど、借入先もいろいろありますので、自分の場合はどれが最適なのか、選択で迷ってしまうことも多いものです。どの方法を選択するのかはその後の生活にも関わる重要な問題ですが、悩んでいる間にも借金は増えていきます。借り入れについて悩んだら、ぜひ債務整理に詳しい弁護士へ相談してみましょう

    債務整理の経験豊富な弁護士に相談すれば、法律の専門知識と豊富な経験に基づいたアドバイスが受けられます。

    自宅を失いたくない、絶対に人に知られたくない、定期収入がない、など、事情は人によって異なります。弁護士に相談することで、自分の事情に沿った最適な解決方法を提案してもらえます。

    なお、弁護士に手続きを依頼するかどうかは、相談してから考えることができますので、弁護士費用なども含めて不安な点をすべて相談してみるとよいでしょう。仮に、債務整理の手続きを弁護士に依頼すると、複雑な法的手続きはすべて弁護士が本人の代理人として進めてくれます。
    取り立てに追われることのない、安定的な生活への一歩につながります。

  3. (3)減額してもらえる可能性が高まる

    特に金利が高い業者の場合は、交渉によってしっかりと減額してもらう必要があります。弁護士に依頼すると、業者ごとに適切な交渉を行い、自分で行うよりも借り手の立場に立った解決に近づく可能性があります。

    また、弁護士は依頼を受けると、払いすぎた利息(いわゆる過払い金)がないか、引き直し計算をして確認します。これによって過払い金が判明すれば、借金が大幅に減ったり、場合によっては0円になったりする可能性もあります

6、まとめ

借入先が複数になって弁済が回らなくなった場合、おまとめローンを検討するのも良い手段です。ただし、おまとめローンだけでは、借金問題を根本的に整理することはできません。特に、キャッシングを繰り返して借入先が増え、利息や遅延損害金も膨らんでいる場合は、一時的におまとめをしても、また返済ができなくなるリスクが大いにあります。

本記事で説明したとおり、借金の解決方法は複数あり、自己破産や個人再生といった裁判手続き以外にも、任意整理という借金減額の手段も用意されています。自分の将来のためには、どの手続きが最適なのか、安定した生活を1日も早く取り戻すために、まずは債務整理問題に経験豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、債務整理の御相談を受け、借金問題の解決をサポートした多数の実績があります。湘南藤沢オフィスの弁護士が親身にお話を伺いますので、ぜひお早めにご相談ください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています