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暦年贈与は節税対策に有効? 暦年贈与とみなされないケースを弁護士が解説

2022年11月15日
  • 相続税対策
  • 暦年贈与
  • 注意点
暦年贈与は節税対策に有効? 暦年贈与とみなされないケースを弁護士が解説

「将来、子孫のために財産を残したい」と考えている方は、できる限りの節税対策に努めていることでしょう。

藤沢市では、市民の税金に関するさまざまな疑問を解消するために市の主催による税務相談が開かれています。税理士が30分間の無料相談に応じてくれるので、節税を目指すなら上手に活用したいところです。

相続税の節税に有効な手段のひとつとして、「暦年贈与」という制度があります。暦年贈与を活用することで大幅な節税効果が期待できますが、場合によっては節税にならなかったり、相続人同士のトラブルを招いたりする原因となるため、注意が必要です。

本コラムでは、暦年贈与の基本や暦年贈与が認められないケース、暦年贈与が招くおそれのある相続トラブルについて、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスの弁護士が解説します。

1、暦年贈与とは?

まずは「暦年贈与」とはどのような制度なのか、暦年贈与にはどのようなメリットがあるのかについて解説します。

  1. (1)暦年贈与とはなにか?

    ある人が築いた財産は、その人が死去したのちに、一定の親族に継承されます。これを「相続」と呼びます。
    しかし、相続は人の死去によって開始するため、実際に財産が継承されるのは死後のことであり、必ずしも財産の所有者の生前の意図のままに継承させることができるとは限らないという問題点があります。
    そこで、財産の所有者が生前に自らの意図によって財産を継承させるために、「贈与」という手段があります。

    相続と贈与は、それぞれ「財産を継承させる」という点では共通していますが、基本的には相続よりも贈与のほうが、税額が高くなります。そのため、生前には贈与を行わず相続で財産を継承させることを選ぶ人が一般的には多数です。
    しかし、1年ごとに一定額以下の財産を贈与し続けることで、相続よりも大幅な節税が可能になる場合があるのです
    この課税方式を、「暦年贈与」といいます。

    暦年贈与では、1年につき贈与額から110万円が控除されます。
    つまり、110万円以下の贈与については、贈与税が非課税となるのです。

  2. (2)暦年贈与のメリット

    暦年贈与を利用して複数年にわたって贈与を繰り返せば、1年につき110万円が財産から減っていくため、将来相続が行われる時点ではそれだけ財産が少なくなることになり、相続税については大幅な節税効果が期待できます。

    また、110万円以内の贈与については申告が不要です。
    さらに、なお、これとは別に、2500万円までの贈与を(贈与税の対象とせずに)相続時に相続財産とあわせて相続税の対象とする「相続時精算課税」方式というのもありますが、暦年贈与の場合、相続時精算課税では認められない住宅資金の贈与や教育資金の一括贈与といった特例とも併用できるのです。

2、暦年贈与とみなされない3つのケース

計画的な贈与によって高い節税効果を発揮する暦年贈与ですが、場合によっては、暦年贈与が認められないこともあります。

  1. (1)3年内加算にあたるケース

    暦年贈与を繰り返している最中に贈与者が死亡した場合、死亡からさかのぼって3年以内におこなわれた暦年贈与は、相続財産に含まれて相続税の計算に加算されます。
    つまり、暦年贈与は贈与者の死亡からさかのぼって3年以上前から開始していないと、節税対策としては意味をなさないということになるのです

  2. (2)贈与の実態がないケース

    暦年贈与は、贈与として適切におこなわれた場合にのみ認められます。
    たとえば、親が管理して子どもが関与できない状態の子ども名義の預金口座を作っておいて、その口座に110万円ずつ振り込んでいた場合には、形式上は暦年贈与と同じでも、実質上は子どもの名義を借りた親自身の口座に金銭を入れただけですから、親から子どもに贈与された実態はありません。
    このような方法による贈与は暦年贈与としては認められず、贈与税の課税対象となるのです。
    口座への振り込みによって暦年贈与する場合は、相続人が現に管理している預金口座への振り込みが必須になります

  3. (3)定期贈与とみなされるケース

    暦年贈与を繰り返しているつもりでも、ある条件を満たしてしまうと「定期贈与」とみなされてしまう場合があります。

    定期贈与は、毎年決まった時期に決まった金額を贈与することをあらかじめ約束して贈与する方法です。
    定期贈与とみなされてしまうと、定期贈与の取り決めがあったものとされて、贈与の全額に対する贈与税が課税されることになるのです

    たとえば、1000万円を10年間にわたって100万円ずつ贈与する約束が交わされた場合、暦年贈与の考え方からすれば110万円の控除額の範囲内なので、贈与税は非課税となるように思えるかも知れません。
    ところが、定期的な贈与が約束された時点で「定期金に関する権利」(つまり合計で1000万円の権利)が発生したことになるため、暦年贈与は適用されず、贈与の総額に対して贈与税が課せられるのです。

3、遺産分割時に生じやすいトラブルとは?

暦年贈与を上手に活用すれば、相続税の節約につながります。
しかし、暦年贈与を活用したつもりが、いざ相続が発生したときに大きなトラブルに発展することもあります

たとえば、兄弟のうち兄への財産継承を優先させるために、兄のみに暦年贈与を繰り返したとします。
すると、相続が発生する以前に兄のみが多くの財産を得ていたことになり、相続時点(親が死去した時点)の財産を兄弟で分割するだけでは不公平ではないかという問題が起こります。

相続が発生した段階で、弟は「把握していた財産が目減りしている」と気付きくでしょうが、その財産はすでに兄の手に渡ったあとです。
この場合、弟が主張できることは、二つあります。

まず一つは、遺産分割(当然、原則として兄と弟の相続分は同じです)の際に、兄が親の生前に贈与された財産を「特別受益」だと主張して、その分も相続財産に加えたうえで(持ち戻し)兄と弟の相続するべき財産の価額を算定しなおすよう求めること。
もう一つは、弟の遺留分が侵害されたとして、兄に対して「遺留分侵害額請求権」を行使すること。

「遺留分」とは、相続人に保障されている最低限の取り分のことで、暦年贈与によっても侵害は認められません。
弟は、遺留分侵害額請求権を行使することで、暦年贈与によって自分が侵害された遺留分を取り戻せます。
しかも、遺留分侵害額請求権の行使を受けた場合、現物ではなく金銭によって返還することになるため、兄弟間で金銭の支払いをめぐってトラブルに発展するおそれが高いのです。

なお、遺留分侵害額請求権は、令和元年の民法改正によって以前の「遺留分減殺請求」が改称された呼び名です。
ここで挙げた例のような暦年贈与による侵害のほかにも、「全財産を兄に相続させる」といった遺言への対抗手段としても用いられます。

4、暦年贈与に関するトラブルを避けたいなら弁護士に相談を

暦年贈与を利用すると、「有効な暦年贈与とみなされず贈与税が課税されてしまった」「特定の相続人に対して暦年贈与を繰り返していたためほかの相続人との争いに発展した」など、さまざまなトラブルの可能性が生じます。
暦年贈与の活用に関するトラブルを回避するためには、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)有効な暦年贈与に向けたアドバイスが得られる

    税に関する法律の知識が豊富で、これまでに多数の相続トラブルを解決してきた実績のある弁護士に相談すれば、有効な暦年贈与に向けたさまざまなアドバイスが得られます。
    暦年贈与が節税対策に有効な状況なのか、暦年贈与として認められない方法をとっていないかなども、弁護士であれば適切に判断することができます

  2. (2)暦年贈与の証拠を残すことができる

    暦年贈与では、1年につき110万円までの贈与が非課税となり、非課税枠の範囲内でおこなわれた贈与について申告の義務はありません。
    ただし、暦年贈与を複数年にわたって繰り返した場合、のちの税務調査によって定期贈与を疑われるおそれがあります。

    暦年贈与が否定されるトラブルを回避するためには、必要な契約書をとりかわすなど、弁護士のアドバイスを受けながら暦年贈与として認められる証拠を残すことをおすすめします

  3. (3)税務調査への対策が万全となる

    税務職員の調査は非常に厳しく、暦年贈与を装った租税回避行為はたやすく見破られてしまいます。
    実際に行っていた租税回避行為が見破られるだけでなく、適正に暦年贈与をしているつもりだったのに租税回避行為だとみなされてしまうおそれもあるのです。

    税務調査であらぬ疑いをかけられないためには、弁護士にアドバイスを受けながら対策を講じることをおすすめします
    タイミングに応じた最適な対策について弁護士からのアドバイスを受けることができます。

  4. (4)遺留分の侵害を回避できる

    暦年贈与が招くトラブルとして、複数の相続人を無視して特定の相続人のみに財産を集中させてしまうケースが挙げられます。
    ほかの相続人に特別受益を主張されたり遺留分侵害額請求権を行使されてしまえば、相続人の間で争いに発展してしまうでしょう。

    弁護士にアドバイスを受けながら暦年贈与することで、ほかの相続人の遺留分を侵害してしまうような事態を回避することができます
    また、もし相続人同士でトラブルに発展してしまっても、弁護士が代理人として協議することで、最善のバランスを保った解決が期待できるでしょう。

5、まとめ

暦年贈与は、1年につき110万円までの贈与について贈与税が非課税となる課税方式です。
生前のうちに財産額を減少させることで、贈与税や相続税の節税につながります。
ただし、同じ時期に同じ金額を暦年贈与していると、定期贈与とみなされて全額が贈与税の対象になってしまって、節税効果が失われてしまうおそれがあるのです。
また、複数の相続人が存在するなかで特定の相続人だけに暦年贈与を繰り返していると、特別受益が問題となったり、遺留分侵害額請求権を行使した相続人との間に争いが生じてしまいます。

贈与税や相続税の節税対策や遺産相続に関するトラブルについてアドバイスを必要としている方は、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスにまでご相談ください。
ベリーベスト法律事務所グループには税理士も所属しており、弁護士と税理士が連携して、相続に関する疑問やトラブルの解消に尽力します。
暦年贈与を活用した節税対策を検討しているのであれば、ご自身の判断だけで贈与に踏み切るのではなく、まずはベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスにご相談ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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