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離婚の注意点! 離婚前に押さえておくべきポイントをケースごとに解説

2022年07月25日
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離婚の注意点! 離婚前に押さえておくべきポイントをケースごとに解説

神奈川県が発表している「平成31(令和元)年神奈川県衛生統計年報統計表(第1部 人口、平均余命、人口動態調査)」によると、藤沢市における離婚件数は743件でした。

離婚は人生を変える大きな決断となるため、実行する前には、基礎的な知識をきちんと把握しておく必要があります。

本コラムでは、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスの弁護士が、離婚に関する注意点を解説します。

1、知っておきたい離婚の方法

  1. (1)話し合いで解決できれば理由は必要ない

    離婚の方法は、大きく分けて三つあります。
    夫婦間の話し合いによる「協議離婚」、家庭裁判所で裁判官と調停委員と一緒に話し合う「調停離婚」、そして裁判官が離婚の可否や条件を判断する「裁判離婚」です。

    協議離婚や調停離婚の場合には、当事者である夫婦同士が納得して合意していれば、どのような理由であっても離婚することが可能です。
    しかし、「裁判離婚」をする場合には、民法第770条で定められる「法定離婚事由」が相手方の配偶者にあることが、条件とされています
    なお、離婚裁判は、離婚調停を経てからでないと提起することができません(これを「調停前置主義」といいます)。

  2. (2)法定離婚事由とは

    民法第770条第1項では、以下のように定められています。

    夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    一 配偶者に不貞な行為があったとき。
    二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
    四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。


    二つめの「悪意で遺棄されたとき」とは、健康なのに働かない、働いていても生活費を渡さない、同居しないなど、民法第752条に定められる夫婦間の同居・協力・扶助の義務に違反することを意味しています。

    四つめの「回復の見込みがない強度の精神病」については、躁(そう)うつ病、統合失調症など一部の精神病を意味しています。
    回復の見込みがないかどうかは、専門家である医師の診断を仰いだうえで、最終的に裁判官が判断することになります。

    五つ目の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」には、長期間の別居、モラハラ・DV、浪費、宗教活動、犯罪などさまざまなケースが含まれています。
    ただ単に「夫婦間の相性が悪い」などの理由は、離婚事由とはみなされないことに注意してください

  3. (3)慰謝料との関係

    夫婦のうち離婚の原因を作った者は、「有責配偶者」と呼ばれます。
    有責配偶者に対しては、精神的苦痛をもたらされたことに対する損害賠償金として、慰謝料を請求できる可能性があります。
    たとえば、相手の不貞行為やDV、悪意の遺棄が原因で離婚した場合などが当てはまります。一方で、性格の不一致や相手の精神病が原因で離婚した場合には、相手に何ら責任はないために有責配偶者とは言えず、慰謝料も請求できない可能性が高いでしょう

    慰謝料の金額は、ケースによって異なりますが、過去の同様の事例をみることで相場を知ることはできます。
    また、一般的には、有責行為のひどさ、結婚生活の長さ、未成熟子の有無や人数、相手方配偶者の年収や社会的地位などの要素が、金額に影響を及ぼします。
    自分の事例では具体的にどれほどの金額が請求できるか知りたい場合には、弁護士に相談すれば、計算してもらうことができるでしょう。

2、パターン1・性格の不一致が原因の場合の注意点

ここからは、離婚の理由としてよくあるパターンごとに、具体的な注意点を紹介します。

離婚理由としては、「性格の不一致」がよく挙げられます。
しかし、上述したように、性格が一致しない程度であれば法定離婚事由(民法第770条)には当てはまりません。

したがって、性格の不一致を理由に離婚したい場合には、離婚協議または離婚調停を行いましょう
しかし、どれだけ話し合っても相手からの合意を得られない限り、協議や調停で離婚することはできません。

ただし、自分たちの状況について客観的かつ冷静に見てみたら、単なる「性格の不一致」を超えて、相手からのモラハラやDVを受けていたり悪意の遺棄をされていたりすることが判明する、という場合もあります。
主観的には法定離婚事由に当てはまりそうになく思える場合にも、一度、弁護士に相談して専門的な意見を聞いてみるとよいでしょう。

3、パターン2・子どもがいる場合の注意点

  1. (1)親権

    夫婦の間に子どもがいる場合には、基本的に、親権者を決めてからでないと離婚することができません。
    夫婦の話し合いのみで親権者が決まらない場合には、調停または裁判で決めることになります。

    親権者を決めるにあたっては、「子どもの福祉」が優先されます。具体的には、子どもが心身ともに健康に豊かに生活できるかどうか、ということで判断されるのです。
    日本では、一般的に、子どもが10歳前後になるまでは母親が親権者として優先される傾向にあります(ただし、あくまで傾向であり、父親の方が親権者にふさわしいと判断される場合もあります)。
    10歳から15歳ぐらいまでは、子ども自身の意見も考慮したうえで、他の事情もふまえながら客観的に判断されます。
    そして、15歳以上になると、子どもの意思を完全に尊重して親権者を決めています。この年齢になると、もう子どもにも十分な判断力があると考えられるからです。
    この他にも、以下のような基準に基づいて親権者が決定されます。

    • きょうだい不分離の原則:兄弟姉妹はできる限り一緒に育てるべきという考え
    • 継続性の原則:離婚時点まで実際に子育てしてきた人が親権者になるべきという考え
    • 寛容性の原則:面会交流に積極的な、寛容な親の方が親権者にふさわしいという考え


    なお、原則として、不貞行為(不倫)は親権には影響を及ぼさないとされています。不貞行為はあくまでも夫婦間の問題であり、親子間の関係とは別のものとして判断されるためです。
    しかし、不貞行為の態様によっては子どもの心身の健全な育成に悪影響をもたらすことも考えられるため、親権者を判断する際に考慮される場合もあります。

  2. (2)養育費

    「養育費」とは、子どもの生活費や教育費や医療費など、子育てにかかる費用の総称です。親権者にならなかった方の親は、原則として、離婚後に親権者に養育費を支払うことになります。
    養育費の金額などについては夫婦間の話し合いで自由に決めることもできますが、合意に至らなかった場合には、調停や裁判手続きのなかで決められます。その際には、裁判所が公表している「養育費算定表」に基づいて計算されます。

    養育費が支払われるのは、未成熟の子どもが経済的に自立するまでとされています。
    成年に達していても、まだ学生である場合や、病気・障がいで働くのが難しい場合には、養育費の支払いが継続する可能性があります。
    また、子どもにどれだけの教育費を支払うのかについては、親の学歴も考慮されます。たとえば、養育費を支払う父親が大学を卒業している場合には、子どもにも大学までの学費を支払うべきだと判断される可能性があります。

    もしも養育費が約束通り支払われなかった場合、養育費の支払い義務について定めた「執行認諾文言付き公正証書」や「調停調書」、裁判所による「確定判決」などの書面があれば、給与や預貯金などに強制執行をかけることができます。

    法改正前は、養育費支払い義務者の勤務先または銀行口座のある金融機関・支店名までを特定しなければ強制執行をかけることができず、養育費逃れが多発していました。
    しかし、令和2年4月1日に改正民事執行法が施行されてからは、以下の新制度「第三者からの情報取得手続き」が導入されたのです。

    • 裁判所を通して、相手の住所地の市区町村役場・年金事務所の情報から勤務先を知ることができるようになった。
    • 裁判所を通して、相手の口座がある金融機関(銀行・農協・証券会社)から相手の預貯金口座の有無・支店名を特定できるようになった。
    • 裁判所を通して、法務局から相手の不動産情報を提供してもらえるようになった。


    「第三者からの情報取得手続き」を利用するには、債務名義(強制執行認諾文言付き公正証書、確定判決、調停調書など)を持っていることが条件になります。
    また、相手の住所地についても把握しなければなりません。相手が完全に行方不明になっていてどの市区町村に住んでいるのかもわからない場合には、完全な行方不明の場合には、「第三者からの情報取得手続き」は利用でない可能性があります。

    さらに、強制執行逃れのための財産隠しについても、法改正によってペナルティーが強化されました
    「債務者の財産開示手続き」について、裁判所の出頭命令を無視したり虚偽の陳述をしたりした場合に、「6か月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されます。これは刑事罰であるため、前科がつくことになるのです。
    以上の法改正により、今後は養育費逃れが減少することが期待されています。

4、パターン3・不貞行為(不倫)が原因の場合の注意点

  1. (1)不貞行為をした側(有責配偶者)の場合

    先述したとおり。不貞行為などの離婚原因を作った配偶者は、法律用語では「有責配偶者」と呼ばれます。

    双方が本当に納得していれば構いませんが、相手が拒否しているのにも関わらず有責配偶者から一方的に離婚を求めることは、原則として認められていません。たとえば、不倫をした側が「離婚をしたい」と思っていても、不倫をされた側が「まだ結婚を継続したい」と思っているなら、離婚は認められないのです。

    しかし、例外的に、有責配偶者から離婚できるケースがあります。
    判例によると、以下のすべての条件を満たしている場合には、離婚が認められる可能性があります。

    • 長期間にわたって別居している(長期間の基準は、その夫婦の婚姻期間等による)
    • 未成熟子がいない
    • 離婚によって、相手方配偶者が精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状態にならない


    二つめの未成熟子とは、年齢のことではなく、「経済的に自立していない」ことを指しています。成人していても、病気や障がいで働けない人や、勉学に専心しており収入を得られない学生などは「未成熟子」にあたります。

    三つめについては、長年専業主婦をしてきて就労が難しい場合や、病気や障害により配偶者のサポートを必要としている場合などの状況を想定した条項になります。
    離婚後も経済的に支援し続けたり、裕福な実家に援助してもらうようお願いしたりして相手方配偶者の離婚後の生活の保障をすることで、離婚が認められる場合もあります。

  2. (2)不貞行為をされた側の場合

    不貞行為をされていた場合は、相手が有責配偶者になりますから、慰謝料を請求できる可能性があります。
    不貞行為の加害者は、有責配偶者とその不倫相手の2名が存在します。そのため、両方に慰謝料を請求することも可能です。

    ただし、不貞行為が発覚する前から既に婚姻生活が破たんしていた場合には、慰謝料の請求が認められない場合があります。具体的には、「離婚を前提に別居をしていた」などの状況が当てはまります。一方で、家庭内別居などであれば、「婚姻生活が破たんしていた」とまでは見なされない可能性が高いです。

    不貞行為の慰謝料については、離婚の話し合いの際に、金額や支払い方法を一緒に決めることも多いようです。
    合意が成立しなければ、他の理由による離婚の場合と同じように、調停や裁判へと進んでいくことになります。

5、パターン4・配偶者が専業主婦(主夫)の場合の注意点

  1. (1)婚姻費用分担請求

    離婚を前提に別居を始めた場合でも、離婚が正式に成立するまでは、法律上は「夫婦」として扱われます。
    そのため、たとえ気持ちが冷め切っていたとしても、離婚が成立するまではお互いの生活を支え合い助け合う義務が存在するのです。

    専業主婦(主夫)の配偶者が家を出て別居を始めた場合には、収入がある方の配偶者は、生活費を一部負担しなければなりません
    婚姻生活のなかでかかる一切の生活費は、「婚姻費用」と呼ばれます。
    収入のある配偶者が婚姻費用をきちんと支払わない場合には、「婚姻費用分担請求」という手続きを利用することで、強制的に婚姻費用を回収することも可能です。

    また、婚姻費用の金額は、請求した時点から計算されます。それより過去の分について、さかのぼって請求することはできません。
    なお別居の原因が配偶者の不貞行為などにある場合には、相手から婚姻費用分担請求をしてきても、認められない場合があります。

  2. (2)扶養的財産分与

    離婚の際には、夫婦がふたりで築いた共有財産を貢献度に応じて分け合う「財産分与」という手続きをすることになります。

    外部から収入を得ていない専業主婦であっても、財産分与を受ける権利は有しています。
    専業主婦も家事や育児に専念することによって家計に貢献しているとみなされるために、基本的には、共有財産の半分を受け取ることができます。
    また、熟年夫婦のなかで長年専業主婦をしており社会人としてのキャリアへの復帰が困難である場合や、持病や障がいがあり就労が難しい場合には、離婚後の生活が保障されるために、2分の1よりも多めに受け取れることもあります。これは「扶養的財産分与」といいます。

    財産分与についても、当事者同士の話し合いで決まらない場合には、調停や裁判に移行する可能性があります。
    また、財産分与について話し合わないまま協議離婚で離婚した場合、離婚後から2年経過すると請求することができなくなる点に注意してください(これを「消滅時効」といいます)

6、まとめ

本コラムでは、離婚手続きの基礎知識や注意点を解説しました。
離婚を検討されている方は、ご自分の状況と照らし合わせて、疑問に感じる点などがありましたら、お早めに弁護士にまでご相談ください

「離婚を決定してからでないと、弁護士には相談できない」ということはありません。むしろ、離婚を検討している段階で専門家からの適切なアドバイスを受けてこそ、冷静で適切な判断ができる可能性が高くなります。
神奈川県藤沢市や周辺市町村にご在住で、離婚に関してお悩みの方は、ベリーベスト法律事務所 湘南藤沢オフィスにまで、ぜひお気軽にお問い合わせください。

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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